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活用校の声

電卓に勝つ人間よりも、電卓を作る人間教育を

群馬県・太田市立城西小学校
学校長:伊東 澄夫先生 4年担当:森 かず子先生
日本教育新聞 企画特集取材インタビュー

 日本教育新聞・企画特集「『考える力』を子どもたちへ」にご協力頂いた学校様・第2弾。群馬県東部に位置する太田市立城西小学校をご紹介いたします。伊東校長は、前任校(みどり市立大間々南小学校)で「アイテム」算数と出会い、赴任先である城西小学校でも1年目から「アイテム」算数をご採用頂きました。森先生におかれては、「アイテム」算数を見たのも触れたのもこの年が初めて。初めて導入された学校の奮闘記をお届けします。

学校長:伊東 澄夫先生 4年担当:森 かず子先生

太田市立城西小学校HP → http://www.ota.ed.jp/josai/

学校長伊東澄夫先生の声

城西小学校の指導方針と、「アイテム」を導入した経緯を中心にお話いただきました。

基礎・基本から少し上へ

記者

「アイテム」について、本校が採用に至ったきっかけについてお聞かせ下さい。

伊東校長(以下I)

 本校に赴任して1年目ですが、ここは特別支援教育に力を入れている学校なんです。過去の校長先生方も太田市内の養護学校を経ていますし、特別支援教育のコーディネーターもいます。それなりのベテランがいますので、かなりの実績を上げている学校だと思っています。本校の学力が特別に低いということではありませんが、「基礎・基本の力をつける」と言うと、どうも「最低線を抑えればいい」という意識がはたらくようにと思います。しかしそうではなく、子どもたちには、基礎・基本から上へ伸ばすようなステップを踏ませたかったんです。学校は、常に子どもたちの先を見ながらやるものだと思ってやっていますから。どちらかと言えば、学校ではあまり基礎・基本の身についていない子たちに焦点が当てられて、少人数指導なども、その子たちの力が上がればいい、という意識が強いように感じます。そうではなくて、教師は真ん中の子、上位の子たちの力も伸ばす努力をする必要があるのかなと考えています。

 勿論ドリルにも基本問題というのはありますが、かなりステップの構成が大雑把なように感じます。その間の部分が抜けてしまうと、子どもたちはステップをうまく登ることが難しくなるんですね。その点「アイテム」は、しっかりと段階を踏んでいて、基礎問題から応用・発展までうまく進めていけるかなと思いました。

学び合い学習で得られるもの

 本校が導入した一番のきっかけは、前任校であるみどり市立大間々南小学校での経験が大きいと思います。前任校では、「アイテム」を取り組ませることで、学力が目に見えて上がったというよりも、子どもたちの集中力が随分と高まりました。5時間目の前に「10分間ドリル学習」の時間がありましたが、まずその時間に「アイテム」を導入しました。問題を考えさせることで、子どもたちに集中力がつきましたね。集中力がつくと、当然普段の授業にもいい影響を与えるようになります。進めていく中で、すぐに全員が発展問題まで解けるわけではなかったんですよ。でも徐々に発展問題まで解ける子どもが出てくる。解ける子たちが増えてくる。増えてくることによって、解けた子たちが分からない子に教えるようになる。しだいに、クラスの中で学び合い学習へと変化していったんですね。そのようにして、クラスがいい方向に変化していったかなと思っています。私は、「アイテム」を使って出来る子をグングン伸ばし、ここで将来の科学者を育てよう、と考えて取り組んでいたのではありません。基本的には、子どもたち全体のレベルアップが出来ればと思いました。しかし、教える側が「このレベルでいい」という線を引いてしまうことは、子どもたちにとってマイナスだなと思いますよ。基礎・基本を身につけることは、簡単な問題を繰り返しやるという意識がありますが、教科指導の中でも学び方というのがありますよね。考える力が身についている子どもたちは、授業の受け方も違ってきます。ひとりの教師が40人を相手に指導をしていくことは、現実としては難しいです。「個に向けた指導を」と言われますが、実際には40人分の個に対しての指導をどうするかというと、一斉授業の中ではとても難しいですね。ひとりの教師が行うことが厳しい部分、先生ひとりが頑張ってもどうしようもない部分においては、クラス全体のレベルアップを計りながら、クラスの中で学び合わせることで、より上のレベルを目指していくしかないのかなと思っています。学び合い学習というのは、理解の遅い子たちを認めることにもなるし、理解の遅い子たちは、先に出来た子を認めることにもなるんですね。お互いがお互いを認め合うことで、こういう考えもあるんだと感じる。出来る子たちは、「こういうところが間違え易いんだな」ということを考える機会を、そこで得るんですね。子どもが自分で考え、感じることが大事だと思っています。

 とかく発展問題や難しい問題をやることは、出来る子を育てる指導ではないかと言われます。でも、ある程度基礎が身についた子を、先に伸ばしてあげることは大切だと思っています。ただ先に伸ばすだけではなく、そういう力のついた子を教室に戻す、他の子たちに教える、という学び合いのかたちは大事なことだと感じます。

10分間の使い方

 本校では今、国語の指定受けていることもあり、朝の10分間学習には、朝読書をしています。5時間目前の時間は「10分間基礎練習」と言っていますが、そこで「アイテム」をやっていますね。

記者

 この基礎練習の時間に、例えば一問を取り上げてじっくりと考えさせることもあるんですか?

 それはクラスによって違いますね。進んでしまう子はどんどん先の問題をやることもあるし、基礎練習がまだ理解できていない子は、欄外の計算ドリルをやることもあります。10分間基礎練習はあまり時間が多くはないので、基礎練習をある程度やって、発展的な問題は宿題になるケースもあります。自主勉強としてやらせるケースが多いですね。前任校でもそうでしたが、最初は(発展問題までは)全然解けなかったんですよ。なかなか手ごわい問題が多いですから。このような問題は、ちょっと慣れてないと解けないんです。でもひとりが解いてくると、「わぁ、すごいなぁー」という声がクラスで上がって。「ぼくも」「ぼくも」と子どもたちが頑張りだして、解け出してくるんですよね。きっかけがないと、なかなか先には進まないですから。それがまたいい方向に発展していくと、理科や国語や他の教科にもいい影響を与えると思います。前任校は特に国語の指定を受けたわけではなかったのですが、算数である程度考える力が身についたことで、国語の力もついてきたなと感じました。

集中力を鍛える

 算数と国語では(教科としては)全然別個のように感じますが、基本は集中して考えること。「考えを深める」という点では共通しています。それに(基礎練習の)10分間集中することが身について、子どもたちが落ち着いてきましたね。全校朝礼でも、静かに落ち着いて話を聞くようになったと感じます。しっかり私の顔を見て、話を聞くようになりましたね。外部からいらした方には、子どもたちが集中して話を聞いているので「凄いですね」と驚かれました。昨年、みどり市にイエローハットの創始者である鍵山秀三郎さんがいらっしゃって、前任校で講演をする機会がありました。お話の内容はトイレ掃除の話だったのですが、ちょっと大人向けの話で難しかったんです。それでも子どもたちは、じーっと聴いていたんですね。講演後に、「こんなに集中して話を聴ける子どもは、とても珍しいです。私は大人を前にして話す機会は多いのですが、子どもたちに対してお話をすることはあまりないんです。でもしっかり聴いている子が多かったですね。」と言われました。集中力というのは、生まれ持った能力というものも勿論あるとは思いますが、鍛えられるものだと実感しましたね。

 10分間の基礎練習は前任校で始めた試みですが、ポイントは5時間目の前にやるという点です。 朝学習の10分間というのは、ある程度どこの学校でも取り入れています。それを5時間目の前にもやる、そこがポイントなんですね。最初はなかなか集中してやる子が少なかったです。でも徐々に子どもたちの集中力が高まってきました。2年目には大分集中力が高くなったので、授業時間としてカウントするようにしたんですね。ですから5時間目は前倒しでスタートし、50分授業になります。そうしたら年間の授業時間が市内で一番多い学校になってしまいました。夏休みは8月31日までしっかり休みます。冬休みも春休みも削りません。でも、この10分間練習は毎日やります。毎日算数と国語を10分間ずつやるので、単純に1週間で算数と国語の授業数が1時間増えることになるんですね。これを1年間続けるとすごいですよ。10分集中することが、大きな差につながると言うことです。子どもにも言うんです。何でも小さなことの積み重ねだよと。毎日の積み重ねが大きなことに繋がっていくんだよとね。そういった点でも「アイテム」がこの10分間練習にあっていたんです。

「アイテム」算数との出会い

 でも、最初から「アイテム」を使っていたわけではありません。何を使ったらいいかわからなくて、前任校で、研修主任が「こういう問題集がありますよ」と パンフレットを持ってきたので、まず見本として取り寄せてみました。見本を見たときは、本校にはちょっと難しいかな、とまず思いましたけど、とにかくやってみようということで始めたのがきっかけです。前任校は、周りの学校と比べると宿題もかなり出している学校でした。しかし、それにちゃんと応えてくれる子どもたちでしたから。次は宿題ということではなく、自主勉強という点へと引き上げたかったんですね。やらされるのではなく、自分でやってくるという姿勢を作りたかった。それにはある程度の力を子どもにつけないと、家に帰って勉強したいと思わないと考えました。そして、自主勉強をやってきた子どもは褒めました。そのことを継続したことで徐々に力がついていったと思いますね。これは本校でも取り組んでいこうと思っていますが、なかなか一気にとは行きません。学校を取り巻く環境も違うし、職員も違う。子どもも保護者の方も違いますから、全く同じパターンが通用するわけではありません。でも、根本の考え方は変わりません。本校でも今年から、5時間目の前の基礎練習はやっていますからね。

電卓に勝つ人間ではなく、電卓を作る人間を作る

 最初は保護者の方からも「これは少し難しいんじゃないですか」というご意見がありましたね。でもその声に対しては「難しいからやるんです。易しい問題ばかり100題やっていても力がつかないので」と答えました。

 全校朝礼でも話すのですが、「私たちは計算練習をたくさんやって、電卓に勝つような人間をつくろうとしているのではありません。電卓と勝負しても仕様がないんです。むしろ電卓を作る人間になってほしいです。」とね。
そのためには、段階を踏まないと駄目なんだよ、と、そんなことを子どもたちに伝えています。

 こういう話は、保護者会やPTAの集まりでも話しますね。普通のことをしていても、賢い子どもは育ちません。全国学力調査テストでも、B問題は子どもたちは出来ないですよね。なぜなら、今までそういう問題をやってきていないからです。「アイテム」を導入しているからといって、子どもたちがすぐにB問題が解けるようになる、ということではないんです。ただ、ものを考えるきっかけにはなりますよ。例えば子どもとスーパーに買い物に行きます。「これは美味しいから買おう」というだけでなく、値段を見て、比較をさせることも必要なんですね。日常のちょっとした工夫の積み重ねで、子どもたちは賢くなるんです。そういう話はよくします。

森かず子先生の声

指導現場の「アイテム」の活用状況を具体的にお話いただきました。

「アイテム」算数、現場での印象

記者

 今年まだ1年目ということですが、森先生が初めて「アイテム」を見たときの印象はどういう感じでしたか?

森(以後M)

やっぱり難しいということと、これを全員にやらせるとなると、全部は無理だろうなというのが第一印象でした。一度書き込ませてしまうとそれでおしまいだし、学校長は、前任校で何回もやらせていたそうですが、学校で何度もやれる時間がとれるんだろうか、と。私は、年度当初に、年間の指導予定をたて、カレンダーの上に書き込んで、その日付の範囲に学習が終わるように単元の指導計画を考えていきますが、1時間も遅れないで指導していっても、ひと単元2時間くらいしか余裕の時間がないのが現実です。ちょっとつまずいている子がいて予定通りに進まないクラスは、やる時間がとれないのではないか・・・というのが正直な感想でした。

 とにかくどう使ったらよいのかよく分からなかったので、「アイテム」算数の著者である田中先生に、アイテムをどのように使っていらっしゃるのか直接メールで問い合わせて教えて頂きました。

だいたい新しいものを最初に取り入れるときには、マイナス面のほうが先に立ちますよ。「こんなもの出来ない」とね。それはその通りです。初めてやるんだから、最初から出来るわけがないんです。誰でも、新しいものが入ってきたら厄介に感じるものです。今までやってきたものがあるのに、全くとんでもないことを言い出す校長だ、と思われたと思いますよ。

全員に買わせて、やり終わらないのでは困るなと思いました。

自主学習の進め方

 夏休みもアイテムを使って復習を1回させましたが、冬休みも、今年は「アイテム」で復習をやろうかなと考えています。今までは別のドリルを使っていたんですが。復習の計画表を子どもたちに作らせる予定です。日付とページを入れて、やったらお家の方に判子を押してもらうようにしようかな、と思って作っています。冬休み明けまでにノートで一度復習をやって、1月には、「練習しよう」と「確かなものにしよう」の部分に直接書き込んで復習し、2月・3月で「考える力をつけよう」と「発展させよう」の部分を書き込みながら復習しようと思っています。

 お休み中に自主学習した子どもについては、賞状を作って表彰をするようにしているんですよ。夏休みの時は、一応担任が推薦した問題集をやってきた子どもを対象にしました。これは(答えが)合っているとか間違っているということではないんです。どれだけ自主的にがんばったかどうかなんですよ。だから普段はなかなか(問題が)解けない子でもがんばってやってきますね。そういう子どもにも賞状を出しますよ。

 これは昨日持って来た子のノートです。自分でやった問題は自分で○×をつけて、解けなかった問題はマーカーを引いて、またその問題を解いて、というやり方で進めているんですが、この子はもう7冊目ですね。

 家庭でする勉強は、この自学帳(自主学習用のノート)だけではないんですよ。国語と算数は、漢字など宿題を全員に出しています。その宿題をこなした上で(自主学習として)やってきていますからね。だからあまり強制的には言いません。またある子は、ノートの表から算数をやって、裏からは授業日記などの国語的な学習をやっていますね。やり方は子どもによってまちまちです。市町村の名前を書いてくる子もいますしね。この時期はテストが近いから、この子はアイテムでも下の計算ドリルの部分を集中的にやってきています。この子は、昨日授業でやった問題と似たような問題を「アイテム」の中から自分で探して、ノートにやってきていますね。この2人は、1年で10冊やろう、と目標を立てていて、今10冊目に入っています。

齊藤

 学習に対する姿勢が、かなり子どもたちの中に出来てらっしゃいますね・・・。

 この子たちは自分の力を伸ばすためには、自分で努力しなければならないと言うことがわかっていますから。10冊目指している子を見て、「私もがんばってみよう」と言っていたり、友達のやり方のいいところを真似して取り入れたりという姿勢はできていますね。全員共通でやるものがあるというのはいいことです。自分にやる意思さえあれば、どういう家庭環境の子でも、自分の力を自分で伸ばすことができるわけですから。

 PTAの方とお話するときは、ことあるごとに「読書と『アイテム』をやりましょう」と言っているんです。読書はしっかりやらせて下さい。漫画ではなくて、本を読ませて下さいと伝えています。

 学校では毎朝職員の打ち合わせをしていましたが、それも見直しをしました。週2回、ひとり5分話せばいいというように。先生方には、5分で伝えられる内容を、考えてから話すようにと伝えました。(打ち合わせを短縮して)浮いた時間を、朝読書の時間に当てたんです。国語については、本校では読書を徹底しようと思っています。

齊藤

 今年度もあと一学期ですが、「アイテム」を今後も活用していけそうな手応えというのは?

 ここにきて、なんとか「アイテム」を活用していけそうな感じはしてきました。授業をして、その授業と同じ内容のプリントと計算スキルを用意して、どちらかを学校でやり、どちらかは宿題にしています。次の日に前時の残りを持ち越さないように指導していけば、予定通りに出来ますので。最後に「アイテム」をして、「難しい問題もできた!」という喜びと自信をもたせて終わりというように、年間を通してやっていけそうだな、ということを感じています。

「考える力をつけよう」「発展させよう」の活用方法

記者

 授業で使用する場合、「考えるちからをつけよう」「発展させよう」を具体的にどのように活用されているのですか?

 最初の2ページ(「練習しよう」と「確かなものにしよう」)は、最近は宿題で十分対応できるようになりました。「考える力をつけよう」と「発展させよう」の部分は、算数の時間にやっています。実際にやってみると、何人かの子どもから「出来た~!」という声が聞かれましたから、今はこの2ページを授業で扱うようにしています。「できればたいしたもの。後ろの2ページができなくても心配いらないよ」と、伝えています。全員ができるようにと思うと、教師は負担になるし、逆に算数嫌いを生み出すかもしれないので。

まずは子どもが自分で解いてみて、途中で解らない問題があった子どもは、ちょっと隣の席の子に聞きながら、というように進めています。今のクラスですと、男の子が6.7人、女の子が3.4人、10人くらいは自力でささっと、解いてしまいますね。他の子どもも解く速さはまちまちですが、解けてはいますね。クラスの2割くらいは解けない子どももいますので、どうしてもわからなかったら、解けた子どもに教えてもらったりしながら解決しています。それでもわからない子もいますので、解答・解説を読んでそれを写すこともよしとしています。写しながら「ああ、そうか」という声もよく聞かれます。ただ、わからなかった問題と間違えた問題はマーカーを引く約束にしています。あとでやり直すときにマーカーを引いた問題(わからなかった問題と出来なかった問題)だけやり直せばいいよ、というようにしています。そのようなかたちで自分でやっていければいいかなと。

子どもに考える機会を与える

 でも最初はやはり出来なくてね。保護者の方も見ますから、「こんな難しい問題集を買って・・・」という声はありましたよ。PTAには実行委員会というのがあります。そこでお話したのは「最初は、解らなくてもいいから考えさせることが大事です。取り組ませることによって、子どもたちの脳は必ず柔らかくなりますよ」ということです。子どもの脳というのは、中学生まででほぼ完成してしまいます。それまでに考える力をつけるためには、考えさせることを経験しなくては。だから問題が解けなくても、考えることに意味があるんです。だから、「解けなかったから駄目だと思わないで、解こうとして子どもが努力をしたことを褒めてあげてください」と保護者の方には伝えています。「何度か繰り返すうちに、必ず解けるようになりますから。「考えること」にチャレンジしない子は、この先、解けるようにはなりませんよ。今の時点で満足してしまいますから」と。これは春先から夏ころまでずっと言い続けてきましたね。今の保護者の方は、子どもが少ないせいもあるかと思いますが、子どもが出来ない(解けない)ことを可哀想だと思うんですね。でもそれは違うと思います。出来ないことが可哀想なのではなくて、(親が)可哀想だと思うことが、子どもにとっては可哀想ですよ、と言いました。今子どもが一所懸命やっていることに対して、可哀想だから難しい問題を取り除くのではなく、励ましてあげてください、と言いますね。

 そんなことを伝え続けてきましたら、今はもう殆ど保護者の方から反対の声はなくなりましたね。何かあると「読書と『アイテム』」と言ってきていますからね。

 数字やテストなど、はっきりした結果というのはこれからでしょう。でも子どもの変化という意味では、実際に段々と問題が解けるようになっています。それは保護者の方も、目の前で解く姿を確認できますからね。

中野

 そういう点ではやはり変化が出てきているんですね。

 続けてやっていれば出ますよね。

斉藤

 クラスの中で、先生が実際に感じる部分はいかがでしょうか。

 先ほどもお話しましたが、自主学習のメニューに「アイテム」を入れてあります。自分でどんどん「アイテム」をやってくる子はいますね。この「アイテム」をやる、ということについては、子どもたちの中ではもう当然のことになっているので。最初は「練習しよう」と「たしかなものにしよう」まで全員がが出来ればいい、と考えていたのですが、学校で発展の部分もやるうちに、子どもたち自身、そこまでやって当然と思うようになりました。子どもたちの中にそんなに抵抗がなくて。先ほど10人ほどがさっと出来る(解ける)とお話しましたが、その10人は、10人とも殆ど時間の差がなく解いてきます。あとの子たちはもう少し時間は掛かりますけど、1時間の中で解いてきますね。解けなかった数名の子どもには、友達に聞いたり、解答を写したりするのでもよいと話しています。

教材研究の材料として (1)授業の教材として使う

 あとは、私が教材研究をするときに、使っています。「わり算のきまり」(「アイテム」4年生-P.20.21「授業でわかる」①わり算のきまり)のところなどは、面白いなと思ったので、同じように自分でカードを用意し、「アイテム」に載っている流れで授業をしました。
普段も、子どもたちが自分できまりを見つけるような授業をやってきていますが、たまたま今回は、先のページにこの問題(「アイテム」4年生-P.25「発展させよう」)もありましたので、実際に□と○と△で赤、青、緑のカードを作って授業をしたら、きまりが見えやすいな、という思いもあってやりました。

 

 あとは単純な事ですが、計算ドリルの部分に目標タイムが載っていますので、「東京の子に負けるな」と半分冗談でいいながらやっていますね。

 東京にもいろいろな子がいて差はあるんでしょうけれどもね。

 目標時間内に出来たら、自分たちも東京の子と勝負できるぞ、みたいな気分になったりして。時間内でできたり、できる数が増えると、励みになりますので。

 ストップウォッチはいつも持って計算ドリルは臨んでいますよ。

(2)数学的な考え方を磨く ~単位の考え方~

 もうひとついいな、と思ったのは、例えば19p(「アイテム」4年生-P.19「発展させよう」下 何十・何百でわるわり算)、上の囲いの中に掲載されているように、単位の考え(10や100をもとにして考える)を使って新しい計算を創りだしていく説明が書いてあるんですね。教科書の指導書には、単位の考えを使って具体的にどう説明するかということが書いてないんですね。だから多分、先生方もこういう説明を子どもたち自身が、新しい計算が出てきたときにできるようにという意識が薄いまま授業をしていることが多いのだと思います。でも、「アイテム」にはきちんと説明が載っているので、どのクラスでもこういうことが自分で説明できる子を育てていけるのではないかと思います。そういう話を校内研修でしていっても、話がこれからは先生方に通じるようになると思いますので。

(3)作問が難しい発展問題を上手に活かす

 私たち教師は、日々忙しい中で、基礎・基本レベルの問題までは用意が出来るけれども、「発展させよう」レベルの問題まではなかなか用意することができませんでした。前任校で、3年から6年の発展問題を単元ごとに集めて作ろう、という試みをしたんですが、出来なかったんです。発展的な問題が載っている参考書は、3年生以下となると市販もないですし、中学の入試問題集を見ても、「この問題は、何年生のこの単元」と明記されているわけではないですから、探すのも大変でした。その点、「アイテム」には、単元ごとにこれだけの問題が入っていますからね。とても助かります。これだけの良問を考えて作っている時間は、担任をしているとないんですよね。質の高い問題がこれだけ単元ごとにあると、それに挑戦させることができ、助かっています。

 本校は、市販のテストですと90点以上取れてしまう子どもたちがかなりいます。市販のテストで同じ100点を取る子どもたちでも、その実態というのはまちまちです。でも「アイテム」をやってみると、随分とその違いが分かりますよ。田中先生に教えていただいた、「アイテムの問題に挑戦していく」ということをやってみると、70点台が多くなります。本当に筋道立てて考えられる子は、100近くとりますけれど。

 「アイテム」を使っていると、時々ヒーローが出てくるんです。発展問題を「出来た!!」と言って、ぱっと解いてしまう子です。そういう子が出ると、クラスで「すご~い!!」という声があがります。いつも解ける子が固定しているわけではないのもいいですし、「よし、俺もがんばるぞ」と、とがんばる姿も見られます。「アイテム」が解けると、すごく「出来た!」という自信が子どもたちの中に芽生えるんですね。

 急に頭がよくなったような気がするんでしょうね。

 そういうことが分かるという点もあって、「アイテム」は学校でやった方がいいかな、と思いますね。このページを宿題にしてしまうと、こういう姿が見えないですから。授業の中で「出来た!」という姿を見たいですし、子どもにできるという自信を付けてやりたいですよね。

 本校は低学年から導入していますので、中学年、高学年に進んでいったときがまた楽しみですね。

パンフレット「アイテム算数のご案内」

パンフレット「アイテム算数のご案内」